らくご@座・紀伊国屋
2012春ちかし公演
会場 紀伊國屋ホール
2012.2.22(水)
喬太郎の古典の風に吹かれて
(五)
喬太郎が胸の奥でそっと敬愛する師匠を迎え、奥深い芸談と古典の世界にひたるシリーズの第五回。
今回は「喬」の字つながりでもある南喬師匠を招いての一夜。
中野生まれで子どもの頃から新宿末広亭に通っていた少年が中学卒業後、当時69歳の金馬師匠に弟子入り。
まるでお爺ちゃんと孫のような年齢差・・・・ながらも甘やかされること一切なく、それはそれは厳しい躾だったことを懐かしく明かしてくれました。
他にも、好青年だった若き日の南喬師匠、20代半ばのとき突然の抜擢で映画に主演し、いきなり破格のギャラを手に。
映画もシリーズ化されると聴いて浮かれに浮かれ酒とバラの日々。しかしシリーズ化はまさかの頓挫。開きかけてた銀幕スターへの道もあえなく閉ざされてしまったという運命のいたずらのようなエピソードも。
金馬→小南→小さん、と三人の師匠についてきた落語界の旅人・南喬師匠のほのぼのとした達観の語りが心地よい風を吹かせました。
<番組>
金明竹 辰じん
対談 喬太郎×南喬
粗忽長屋 喬太郎
寝床 南喬
仲入り
錦木検校 喬太郎
らくご@座・高円寺
2012夏すずみ公演
会場 座・高円寺2
2012.7.4(水)
一之輔の無茶ぶられ
(その1)
一之輔が持ちネタのバージョンアップをするため、先輩ゲストからの無茶ぶりアイデアを取り入れた一席に挑む新シリーズ。
一之輔が選んだ初回のネタは「初天神」。
白鳥による無茶ぶり案は、金坊と徳次郎がお花ちゃんをめぐって恋のバトルになる物語。
彦いちによる無茶ぶり案は、団子を買ってもらえない金坊が我慢できずに団子を盗み、それがやがて大岡裁きとなって、歴史に残る「初天神団子政談」の幕が開く!という展開。
一之輔は彦いち案の要素を取り入れながら「初天神」をバージョンアップ。
金坊が初天神の団子屋で団子に蜜を何度もツケることに業を煮やした団子屋がお上に訴え出ると、大岡越前守いわく「初天神とはいかなるものか、この目で見てみたい」と金坊とふたりで初天神へ。江戸じゅうの野次馬が見守る中、大岡越前の真っ当な詰問に追いつめられていった金坊は自分のわがままに気づかされるという、目からウロコの大岡裁きに客席も喝采。
初回の試みながら一之輔大善戦となりました。
<番組>
ビフォートーク 一之輔・白鳥・彦いち
茶の湯 一之輔
青畳の女 彦いち
恋するヘビ女 白鳥
仲入り
無茶ぶられ版落語(彦いち原案)
「初天神団子政談」 一之輔
アフタートーク
らくご@座・高円寺
2012夏すずみ公演
会場 座・高円寺2
2012.8.15(水)
川柳川柳 昭和音曲噺
夏のガーコン祭り
数えて四年目、毎夏恒例、終戦の日に高座から平和を祈念して川柳師匠の十八番「ガーコン」をたっぷりと聴く会。
つくし、白鳥は噺の中で川柳がたっぷり活躍、小せんの歌声にガーコンの正統継承者を納得。
そして御年81歳の川柳師匠はみっちり40分の大ガーコン。
ABCD包囲網に追いつめられて、日本が太平洋戦争を決断したときの突然の大怒声「やってらんねえよ、このやろう!」に会場じゅう引っくり返るほどびっくり。
いったいどこからあんな声が出てくるのか・・・・。
サゲ近づいたところで「一方、田舎のお父っつあんは」と、すくっと立ち上がり脱穀機の仕草をするのが今回は春先の交通事故で痛めた足をかばいつつよろめきながらも無事に立ったところで(クララが立った級の)大喝采。
最初から最後まで川柳色で盛りあがった夏のガーコン祭り、川柳師匠の音頭による三本締めでにぎにぎしくお開きとなりました。
<番組>
エンショウへの道 つくし
天使がバスから降りた寄席 白鳥
ガーコン(上) 小せん
仲入り
大ガーコン 川柳
らくご@座・紀伊國屋
2012星月夜公演
会場 紀伊國屋ホール
2012.8.21(火)
喬太郎の古典の風に吹かれて
(六)
講談界の人間国宝が披露したのは、のちに大岡越前に裁かれた三大悪党のひとり村井長庵の一席、長講50分。
語りの隅々から沁み出してくるような状況描写、光と闇の表情を要所で変えていく独自の照明、
真夏の夜の貞水ワールドに喬太郎も大興奮。
学校寄席での共演で幾度も旅を共にしているという二人の対談も、キャバレーでの怪談とは? これからの講談とは? 聞きどころ満載。
飄々として若々しい御年72歳の至芸を堪能したお盆明けの一夜でした。
<番組>
仏馬 喬太郎
村井長庵 貞水
仲入り
対談 喬太郎・貞水
粗忽の使者 喬太郎
らくご@座・紀伊國屋
2012星月夜公演
会場 紀伊國屋ホール
2012.9.19(水)
さん喬・市馬 猫づくしの会
「猫定」と「猫忠」
開演で緞帳が上がると高座には寝ている猫・・・のぬいぐるみ。
トップバッターの小太郎が猫を袖に戻して開口一番。
「猫の手も借りたい」など猫が入る言葉づくしのマクラから明るく軽快な「猫と金魚」。
続く市馬は「落語の稽古」をテーマにマクラたっぷり。
「猫忠」は堂に入った芝居振りのシメで、鳴り物とたわむれるように
♪たも、たも、たも、たもたもたもたも・・・・滑稽と風格が両立の一席でした。
トリのさん喬も市馬を受けて「落語の稽古」をテーマにマクラ。
小さん、小三治、九ちゃん(花緑)・・・
と思い出話で沸かせてから、「猫忠」ワールドへ。
訥々と抑えた語りで愛憎サスペンスにじっくり引きこんで「にゃう、にゃう」と本編45分超。
翌日(20日)からの動物愛護週間にちなんだ(?)
猫、猫、猫の一夜でした。
<番組>
猫と金魚 小太郎
猫忠 市馬
仲入り
猫定 さん喬
らくご@座・高円寺
2012秋の宵公演
会場 座・高円寺2
2012.10.12(金)
一之輔の無茶ぶられ
(その2)
一之輔が持ちネタのバージョンアップをするため、先輩ゲストからの無茶ぶりアイデアを取り入れた一席に挑むシリーズの第二回。
一之輔が選んだネタは「明烏」。
白酒による無茶ぶり案は、「源兵衛と太助も、若旦那同様『童貞』でただ遊び人のふりをしているだけ。若旦那の方が本の知識でもって源兵衛と太助より吉原のことに異常に詳しい」
文左衛門による無茶ぶり案は、「まず若旦那の時次郎はガチガチな硬派。というより乱暴者あちこちで乱暴狼藉をしでかすが女には奥手で童貞そんな倅を見かねた父親は源兵衛・太助に吉原に誘うように頼むが実はこの二人、若旦那の舎弟だった」
一之輔は文左衛門案を軸にしながらも、白酒案も半分取り込んで、「明烏」をバージョンアップ。
時次郎が吉原で対面する花魁・浦里が、実は過去に、思わぬ別れをしていた幼なじみだった・・・・という設定を柱に、ふたりの再会をあたたかく描くものがたりに。
噺のキーワードとなった「だるまさんがころんだ」から、文左衛門が「明達磨(あけだるま)」と命名。
まるで源兵衛・太助のような町内の札付き(?)文左衛門・白酒コンビによる無茶ぶりに、正面から応えた一之輔に客席からあたたかい拍手が送られ、最後は三本締めで終演となりました。
<番組>
ビフォートーク
禁酒番屋 白酒
天災 文左衛門
仲入り
明烏(無茶ぶられ版) 一之輔
アフタートーク
らくご@座・高円寺
2012秋の宵公演
会場 座・高円寺2
2012.10.16(火)
市馬・武春うなりあいましょう
うなって、歌っての陽気な趣向。
こみちの民謡連発から始まり、志らくのマニアックな片棒に大笑い。
メインは市馬の浪曲「灰神楽三太郎」。相模太郎の十八番をゴキゲンな笑顔でうなりました。
そこに三味線をあわせた曲師・国本武春とのスペシャルコラボも息ぴったり。
そしてトリでは復活した武春節が炸裂。「紺屋高尾」のキレとテンポはまさしく、待ってました名調子!
曲師・沢村豊子とのかけあいがとても素晴らしく、時に烈しくせめぎあい、時に波引くように余韻を残す、
緩急も強弱も自由自在な浪曲三味線のすごさを再発見。
沢村豊子の妙技にふれて市馬いわく「こういう人が人間国宝にならないと」
舞台もうなれば、客席もおおいにうなった、そんな一夜でした。
<番組>
民謡大家 こみち(作・大野桂)
のめる 市馬
片棒 志らく
仲入り
灰神楽三太郎 市馬 (曲師:国本武春)
紺屋高尾 武春 (曲師:沢村豊子)
らくご@座・よみうりホール
2012冬うふふ公演
会場 よみうりホール
2012.12.14(金)
市馬・昇太・武春・喬太郎
忠臣蔵でござる
今年で三年目、年末モードのおさわがせ公演。
松坂町から有楽町に逃げてきたという吉良(昇太)が
落語家になりすまし「つる」の改作「きら」を披露。
続く喬太郎は「極道のつる」の改作「極道のきら」で
前半から掟破りの「ダブルきら」な展開に。
市馬が「首提灯」でシメて寸劇へ。
吉良(昇太)の相手はシークレットゲストの一之輔。
大石内蔵助でひとからみ。
つづいて国本武春の弾き語りライブが始まると
会場は一体となっての手拍子足拍子でした。
その盛りあがりを引き継いで昇太&喬太郎も一曲。
唄いながら客席を回ると喬太郎の息が切れる切れる・・・。
お待ちかねの大トリは恒例・市馬の「俵星玄蕃」。
曲紹介のMCは一之輔。
後半の見せ場、「先生!」「そば屋かぁ」で
杉野十平次(喬太郎)が槍を手に登場。
襲い掛かる吉良(昇太)を槍でひと突き。
と思いきや、さらにサプライズで
もうひとりの吉良(川柳川柳)が一升瓶片手に
杉野に襲い掛かる・・・・もあっけなく返り討ち。
エンディングで全員並んだところで
アドリブで登場した高田文夫に大拍手。
最後は武春の名調子な三本締めで幕となりました。
<番組>
きら 昇太
極道のきら 喬太郎
首提灯 市馬
寸劇 昇太・一之輔
浪曲ライブ 武春
浪花節だよ討ち入りは 昇太・喬太郎
俵星玄蕃 市馬 (司会/一之輔)
(ミニ殺陣/喬太郎 昇太 川柳)
らくご@座・紀伊國屋
2012冬うふふ公演
会場 紀伊國屋ホール
2012.12.28(金)
芝浜とシバハマ
オープニングから飛ばす面々。
それぞれの応援でありながらも
遊雀は鯉昇「芝浜」のハードルを上げ
白酒は白鳥「シバハマ」のハードルを上げる不始末!?
そして白鳥が「今日は直球で勝負する」と宣言して
それぞれの高座へ。
白酒は毒を散りばめ笑いたっぷりに盛りあげて白鳥へ。
「酔っぱらい 革財布 芝浜」からの新たな三題噺
「シバハマ」がついにヴェールを脱ぐと
まさに直球!?
白鳥が得意とする落語家ワールドの設定で
なんと白鳥&白酒、Wホワイト晩年の物語に。
人間国宝にまで上り詰め、生きがいを失っていた白酒に
「芝浜」を語らせるため、
引退していた白鳥が復活するという
笑いだらけの「シバハマ」となりました。
仲入りをはさんで、遊雀は
芝居ごころが冴える「七段目」で
ぐっと空気を変えてみせ
大トリ、鯉昇の「芝浜」へ。
酒をやめて明日からはたらくと言いつつも
びみょうに酒に後ろ髪惹かれてる
なんとも鯉昇らしい勝五郎。
淡々とした語りに温もりが帯びて
「芝浜」という噺がしずかに沁みた
年の瀬の一夜となりました。
<番組>
ご説明 遊雀 白酒 白鳥
新版三十石 白酒
シバハマ 白鳥
仲入り
七段目 遊雀
芝浜 鯉昇